2017年9月1日金曜日

試験開腹の必要性は?

当院では動物用内視鏡システムを導入し、消化器疾患の診断および治療を積極的に行っています。
大昔の医療ならともかく、現代医療において画像診断の機器がかなり発達してきておりますので、いきなり緊急性もないのに開腹することはあり得ません。
症状を言葉で伝えられない動物の診療に、高画質な画像が威力を発揮し、日常診療の頼れる"目"として観察・診断に役立ちます。また、オーナー様の不安に対して、動画による明確な説明が可能になります。

★嘔吐や下痢が激しい
★食欲が急になくなった
★ぐったりして元気がない     などの症状はみられませんか?

消化管に関する何かしらの異常が見られた場合、大まかな検査の流れは以下の通りです。
① 問診、身体検査や検便、検尿、血液検査などの一般検査
② レントゲン検査、超音波検査など画像診断
③ この時点で診断ができれば、治療開始。あるいは治療による経過観察をします。
④ 上記の検査で原因がはっきりせず、治療により改善も認められなければ、全身麻酔下での内視鏡を検討します。
※当院では、この段階ですぐさま開腹手術は行いません。開腹は動物に負担があります。開腹で見ることができるのはあくまで消化管の外側(漿膜面)です。異物やポリープ、腫瘍、炎症など消化管の内側(粘膜面)を見ることは困難です。当院ではまず、外科侵襲の少ない内視鏡で消化管内部を観察したのちに、必要があった時のみ開腹手術をします。

⑤ 症状に応じて 1)口から 2)お尻から 3)両方 の内視鏡を実施します。
⑥ 消化管粘膜の観察、組織生検を実施し、病理組織検査や遺伝子検査にて確定診断をします。
⑦ フード変更、内服薬、抗がん剤、外科などによる治療を実施します。

病院によっては内視鏡が無い施設もあると思います。だからと言っていきなり試験開腹をするのは間違いです。内視鏡がないなら内視鏡がある施設に紹介するのが現代の医療です。当院はCTやMRIが無いので場合によってはCTや MRIの検査をするために検査センターへ依頼することもあります。
正しい診断をしないと、適切な治療はできません。
当院ではオーナー様と相談の上、治療を決定していきますので、ちょっとした不安がある方はお気軽にご相談ください。セカンドオピニオンも受け付けております。

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